Column
えっ、私ですか!?
皆さん、今回の題名を見て、どのように感じられたでしょうか。
一体、どんなコラムなのか。今回の題名は、解雇を言い渡された従業員の気持ちを文字にしたものです。最近、IT企業で従業員の約半数を解雇した事例をはじめ、複数の企業で人員削減を実施するというようなニュースを耳にします。また、「会社から、辞めてくれないか、と言われたんです。これって解雇じゃないですか。」というような相談を受けたというよう話も度々聞きます。
そこで今回は、解雇をはじめ、「労働契約の終了」には、どのような形態があるのか、そして、混同しやすい、「解雇」と「退職勧奨」について、触れてみたいと思います。
労働契約の終了形態
労働契約の終了形態は、大きく、以下の3つに分けることが出来ます。
1.合意に基づく解約
2.当事者の一方からの解約
3.その他
それでは、1.~3.の終了形態の具体例を簡単に見て行きたいと思います。
1.合意に基づく解約
労働契約は使用者と労働者間の合意によって締結されるもので、合意によって締結された契約を合意により、解約するものとなります。具体的なものとしては、「合意解約」、「退職勧奨」、が挙げられます。
2.当事者の一方からの解約
使用者と労働者の間の合意により締結した契約を、当事者(使用者又は労働者)のいずれか一方から解約をするものとなり、使用者からの解約を「解雇」、労働者からの解約を「辞職」といいます。
3.その他
労働契約の終了形態の「その他」として挙げられるものとしては「定年」が該当します。この「定年」をより細分化する場合には、「定年退職」と「定年解雇」に分けることが出来ます。
事業主からの一方的な労働契約の解除「解雇」
それでは、「解雇」について、見て行きたいと思います。
既に述べました通り、「解雇」は、使用者側からの一方的な労働契約の解除(解雇権の行使)となりますので、労働基準法における解雇手続きに関する法規制はあるものの、解雇に関するトラブルは多く発生しております。当然、もし解雇を言い渡された場合には、「えっ、私ですか!?」という想いを強く持つと思います。
しかし、使用者が解雇を実施する場合には、①労働契約の種類、②解雇手続き、③解雇理由について、注意しなければなりません。
まず、①労働契約の種類ですが、労働契約は「期間の定めのあるもの」と「期間の定めのないもの」の2つに分けることが出来ます。後者の「期間の定めのないもの」については、注意点の②及び③を遵守すれば解雇に関するトラブルを回避することが可能となりますが、前者「期間の定めのある労働契約」の場合、使用者は、労働契約の期間、労働者を雇用しなければならないこととなりますので、解雇することは出来ません。
次に、②解雇手続きですが、労働基準法20条に規定される30日前の予告、又は30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが必要となります。ここでの更なる注意点としては、解雇予告をした日は、30日に含まれず、その翌日からカウントされることとなります。そのため、11月30日付で解雇したい場合には、10月31日までに解雇の予告をしなければなりません。また、解雇予告手当は税務上、退職金扱いとなりますので、退職金の計算の際には注意が必要となります。
そして、最後、③解雇の理由となります。使用者の行った解雇に「客観的合理性及び社会的相当性」があるか否か、がポイントとなります。この客観的合理性及び社会的相当性の判断は、最終的には裁判に委ねることとなりますので、判断までに多くの時間を費やすこととなります。
事業主からのお願い!?「退職勧奨」
退職勧奨は、使用者が労働者に対し、合意解約としての退職を勧奨するものとなり、退職勧奨が行われる場合には、割増退職金の支給等が行われる場合が多いのではないかと思われます。冒頭の「辞めてくれないか」は、会社からの申し入れとなりますので、それを受け入れるか否かは、労働者本人次第となります。
退職勧奨で気を付けなければならないものとしては、労働者が退職勧奨を受け入れないと意思表示をしているにも関わらず、半強制的ないし執拗な退職勧奨を行うことは、不法行為を構成し、労働者に対する損害賠償責任を生じせしめることとなります(下関商業高校事件、最一小判昭55.7.10)ので、継続的に退職勧奨を実施することは注意して下さい。
労働契約の終了に関するトラブル回避のために
労働契約の終了形態は、先に述べた通り、1つではありません。そのため、今回取り上げた「解雇」、「退職勧奨」のみならず、各終了形態に応じた注意点があります。そのため、労働者の退職に関しては、その退職事由がどのようなものであるか、しっかりと把握した上で、対応する必要があります。
EPコンサルティングサービス及び社会保険労務士法人EOSでは、単純に労働契約の終了に関する相談対応のみならず、給与計算、退職金計算そして社会保険手続きまで、各終了事由に応じたプロセスに対応することが可能となりますので、トラブルが発生した際、又は事前防止のサポートとして、お気軽にお声がけ頂きたいと思います。

Yoshito Matsumoto
HR Solution Division/Director and Business Manager Specified Social Insurance and Labor Attorney Social Insurance Labor Consultant Corporation EOS Representative employee Master of Comparative Law, Japan Labor Law Association After graduating from graduate school, he was a consultant at the Tochigi Labor Bureau and worked at a social insurance and labor attorney office in Yokohama, then joined EPCS.
