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【人事労務6月号】【法改正】育児・介護休業法について

【法改正】育児・介護休業法について

2024年5月24日、改正育児・介護休業法が国会で可決・成立し、2025(令和7)年4月以降、順次、施行されることとなりました(法律の公布は、 2024(令和6)年5月31日となっております。)。 

育児・介護休業法につきましては、これまでも複数回の法改正を経て現在に至っているところではありますが、今回の法改正は、従来の制度をより拡充する法改正と見ることが出来るものかと思われます。今回の改正の内容について、既に施行日が確定しているものやそうでないものがありますが、まずは、どのような法改正が行われるのか、その概要を把握することがポイントとなります。

そこで今回は、育児・介護休業法の改正のポイントを簡単にご説明させて頂きます。 

1.法改正の趣旨

男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにするため、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等の措置を講ずることとされております。

2.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充

3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ(※)、 労働者が選択して利用できるようにすることが義務付けられます。また、当該措置の個別の周知・意向確認も義務付けられることとなります(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)。 

  ・事業主は、 ・始業時刻等の変更
         ・テレワーク等(10日/月)
        ・保育施設の設置運営等
        ・新たな休暇の付与(10日/年)
        ・短時間勤務制度
   の中から2以上の制度を選択して措置する必要があります。(※各選択肢の詳細は省令等)
    ※テレワーク等と新たな休暇は、原則時間単位で取得可とする。詳細は省令。
   ・労働者は、事業主が講じた措置の中から1つを選択して利用することができます。
   ・事業主が措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
   ・個別周知・意向確認の方法は、今後、省令により、面談や書面交付等とされる予定です。

3.所定外労働の制限(残業免除)の対象の拡大

所定外労働の制限が、下記の通り、拡大されます(施行日:2025(令和7)年4月1日)。
 【現 在】 3歳に満たない子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能
 【改正後】 小学校就学前の子を養育する労働者が請求可能に

4.育児のためのテレワーク導入の努力義務化

テレワークについて、下記の通り、努力義務化されます(施行日:2025(令和7)年4月1日)。
 3歳に満たない子を養育する労働者がテレワークを選択できるように措置を講ずることが、事業主に努力義務化されます。

5.子の看護休暇の見直し

子の看護休暇が、下記の通り、見直しされます(施行日:2025(令和7)年4月1日)。

                     【現 在】                【改正後】
(名称)                 子の看護休暇               子の看護休暇

(対象となる子の範囲)          小学校就学の始期に達するまで       小学校3年生修了までに延長

(取得事由)               病気・けが、予防接種・健康診断      感染症に伴う学級閉鎖等、
                                         入園(入学)式、卒園式を追加

(労使協定の締結により除外できる労働者) ①引き続き雇用された期間が6か月未満   ①を撤廃し、②のみ
                     ②週の所定労働日数が2日以下      (週の所定労働日数が2日以下)

6.介護離職防止のための個別の周知・意向確認、 雇用環境整備等の措置の事業主への義務化

事業主は、下記を実施することが義務付けられます(施行日:2025(令和7)年4月1日)。
・介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置(※面談・書面交付等による。詳細は省令。)
・介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
・仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備(※研修、相談窓口設置等のいずれかを選択して措置。詳細は省令。)
・要介護状態の対象家族を介護する労働者がテレワークを選択できるよう事業主に努力義務
・介護休暇について、引き続き雇用された期間が6か月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止

【参考】改正の全体像(出所:厚生労働省パンフレット)

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Social Insurance Consulting Firm EOS Firm News Vol. 150

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