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【人事労務8月号】【統計情報】「過労死等の労災補償状況」について【お知らせ】令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について【お知らせ】雇用保険の基本手当日額の変更について

【統計情報】「過労死等の労災補償状況」について

2024(令和6)年6月30日、厚生労働省より、令和5年度の「過労死等の労災補償状況」が公表されました。
「過労死等」とは、過労死等防止対策推進法第2条において、「業務における過重な負荷による脳血管疾患若しくは心臓疾患を原因とする死亡若しくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患若しくは心臓疾患若しくは精神障害をいう。」と定義されています。過労死等に関する請求件数は、4,598件と前年度に比べ1,112件の増加、支給決定件数は、1,099件と前年度に比べ195件の増加という結果になっています。

以下では、「脳・心臓疾患に関する事案」、「精神障害に関する事案」それぞれの補償状況について、ご紹介させて頂きます。

まず、 「脳・心臓疾患に関する事案」の労災補償状況となります。
脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況の推移は、下記の図1の通りとなっており、令和5年度は、請求件数、決定件数及び支給決定件数の全てにおいて昨年を上回る結果となっております。



また、過労死等の労災補償状況で最も注視すべきは、時間外労働の時間数になりますが、時間外労働時間別支給決定件数は右の表1の通りとなります。
「評価期間1か月」では「100時間以上~120時間未満」24件が最も多く、 また、「評価期間2~6か月における1か月平均」では「80時間以上~100時間未満」54件と最も多くなっております。



次に、 「精神障害に関する事案」の労災補償状況となります。
精神障害に関する事案の労災補償状況の推移は、図2の通りとなっており、 令和元年以降、請求件数、決定件数及び支給決定件数は毎年前年を上回る結果となっております。

 

また、脳・心臓疾患に関する事案同様に表2の時間外労働時間別(1か月平均)支給決定件数を見てみますと、先述の脳・心臓疾患のように一定の時間数を超えたものが支給決定されているというものではなことが明らかです。精神障害に関する事案については、脳・心臓疾患に関する事案とは異なり、時間外労働時間数の影響を大きく受けることなく、支給決定されていることが分かります。
これは、精神障害に関する事案の労災補償は、脳・心臓疾患に関する事案とは異なり、時間外労働時間数のみならず、労働者に生じた「出来事」も考慮し、労災認定が行われていることに起因しているところとなっております。



令和5年度に支給決定された883件を「出来事」別に見てみますと、以下に記載の出来事で合計768件と全体の約87%を占めているところから、下 記のような状況が生じた(又は生じている)労働者に対しては、ケアをすることが、重要となってくるかと思います。

【お知らせ】令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について

2024(令和6)年7月25日、厚生労働省は、今年度の地域別最低賃金改定の目安について、中央最低賃金審議会の答申を公表致しました。 目安は、各都道府県をA~Cのランクに分け、そのランクに応じて金額を設定しております。今年度は、Aランク50円、Bランク50円、そしてCランク50円となり、結果的にはランクにかかわりなく、50円が改訂の目安となっております。
また、各ランクの都道府県の数ですが、Aランクで6都府県、Bランクで28道府県、Cランクで13県となっております(下記の表をご確認ください)。



今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は 1,054円となります。この場合、全国加重平均の上昇額は50円(昨年度は43円)となり、1978(昭和53)年度に目安制度が始まって以降で最高額となります。また、引上げ率に換算すると5.0%(昨年度は4.5%)となります。

【お知らせ】雇用保険の基本手当日額の変更について

2024(令和6)年8月1日から雇用保険の「基本手当日額」が変更されました。雇用保険の基本手当は、労働者が離職した場合に、失業中の生活を心配することなく再就職活動できるよう支給するもので、多くの場合、失業手当と言われております。「基本手当日額」は、離職前の賃金を基に算出した1日当たりの支給額をいい、給付日数は離職理由や年齢などに応じて決められており、今回、下記のように変更になっております。

1.基本手当日額の最高額の引上げ:基本手当日額の最高額は、年齢ごとに以下のようになります。
(1)60 歳以上65 歳未満 7,294円 → 7,420 円 (+126円)(2)45 歳以上60 歳未満 8,490円 → 8,635 円 (+145円)
(3)30 歳以上45 歳未満 7,715円 → 7,845 円 (+130円)(4)30 歳未満 6,945円 → 7,065 円 (+120円)

2.基本手当日額の最低額の引上げ:2,196 円 → 2,295円(+99円)

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社会保険労務士法人EOS
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Social Insurance Consulting Firm EOS Firm News Vol. 152

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