コラム
なぜ日本企業はアウトソーシングを活用するのか ~海外企業にも通用する“信頼構築型BPO”とは~
日本企業の“外部委託文化”はなぜ生まれたのか
日本企業では、経理・人事・総務といったバックオフィス業務を外部に委託することが一般的になっています。その背景には、慢性的な人材不足や、専門性の高い分野で社内リソースを確保する難しさがあります。また、限られた人員で本業に集中するために、専門性の高いパートナーに業務を任せるという考え方が広く受け入れられています。
特に日本では、「コスト削減」のための外注というよりも、「信頼できる専門家に任せることでリスクを減らし、安心を得る」という意識が強く見られます。 こうした“信頼を基盤としたアウトソーシング文化”は、海外企業が日本でビジネスを展開する際にも大いに参考になります。
“信頼構築型BPO”とは:日本特有のビジネススタイル
日本のビジネス文化では、契約書の条項よりも「相手との関係性」や「誠実な対応」を重視する傾向があります。バックオフィス業務においても、単なる委託ではなく「パートナーとしての信頼関係」を築くことが成果の質を左右します。
例えば、経理処理や税務申告のように、日々の判断が積み重なる領域では、担当者同士の理解の深さが精度を左右します。 日本企業が重視するのは、「このパートナーなら、自社の立場を理解した上で最適な判断をしてくれる」という安心感です。 EPCSでは、このような“信頼を基盤としたBPO”の考え方を実務の中で体現してきました。これが日本の企業文化の中で求められるサービス品質を支えているといえます。
海外企業が日本でBPOを導入する際の3つの課題
海外企業が日本法人を立ち上げ、業務を委託する際には、次のようなギャップを感じることがあります。
1. 文化的ギャップ
「Yes」が必ずしも「了解」ではなく、「検討中」という意味を含むなど、表現や判断の曖昧さに戸惑うケースがあります。
2. スピード感の違い
海外では即断即決が好まれる一方、日本では「確認・合意・承認」を経る慎重な進め方が一般的です。
3. コミュニケーション頻度の違い
日本では、定例ミーティングや報告書での情報共有を重視する傾向があります。こうした「頻度の多さ」が信頼構築の一部とされています。
これらの違いを理解せずに業務を進めると、両者の間に誤解や不信感が生まれ、業務品質にも影響します。 したがって、日本市場で成功するためには、“言語”以上に“文化”を翻訳できるパートナーが不可欠です。
成功する“日本流パートナー選び”のポイント
日本で信頼できるBPOパートナーを選ぶ際には、次の3点が重要です。
1. 日本の制度と商習慣を理解していること
2. 英語での情報共有・相談がスムーズであること
3. 担当者が継続的に関与し、顔が見える関係を築けること
EPCSでは、これらを実現するために、国内外の両視点を持つ bilingual スタッフがチームを組み、クライアントの状況に合わせたサポートを行っています。
特に日本法人設立の初期段階では、銀行口座開設や給与計算、請求処理など、社内ルールが未整備のまま業務が始まることが少なくありません。 EPCSでは、こうした初期フェーズにおいて、会計処理や税務対応のフローを整備し、外部専門家として安定したオペレーション体制を構築しています。 「最初の数か月をスムーズに立ち上げられたことが、後の安定経営につながった」との声も多くいただいており、設立初期における伴走型支援の重要性を日々感じています。
日本の“信頼文化”を活かすアウトソーシングが、グローバルビジネスのヒントに
日本の企業文化では、アウトソーシングを単なる外注ではなく、パートナーとして共に価値を創出する関係と捉える傾向があります。 海外企業が日本でビジネスを成功させるためには、この“信頼文化”を理解し、自社の経営戦略に取り入れることが重要です。
EPCSでは、こうした日本ならではの信頼関係をベースに、海外企業の日本進出を支援しています。単なる業務委託先ではなく、クライアントの“現地パートナー”として伴走しながら、共に持続的な成長を目指していきます。
山口 浩一Koichi Yamaguchi
ACCTソリューション事業部 マネージャー 営業担当 BBSでの経理実務・コンサルティング経験を経て、2010年EPコンサルティングサービスに入社。2017年より営業を担当。
