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労災保険の種類とは?給付一覧や保険料、加入対象をわかりやすく解説

給与・社保・人事労務

労災保険と一言でいっても、給付の内容や保険料、加入対象など様々な種類があり、どれが自分や自社に関係するのか分かりにくいと感じていませんか。
労災保険制度とは、労働者の業務上または通勤による傷病や死亡に対して、国が事業主に代わって給付を行う公的な制度です。
この記事を読めば、あなたの立場や状況に応じて、申請すべき給付の一覧、適用される保険料、加入すべき制度を正しく判断できるようになります。

労災保険で受け取れる8つの給付(補償)の種類一覧

労災保険の保険給付は、労働者が業務や通勤で被った災害の状況に応じて、様々な種類が用意されています。
主な給付金として以下の9つがあり、それぞれ目的や支給要件が異なります。
被災した労働者やその家族の生活を支えるため、治療費の補填から休業中の所得補償、後遺障害への対応まで幅広くカバーするのが特徴です。

以下に、各給付の概要を一覧で示します。

①ケガや病気の治療費を補償する「療養(補償)等給付」

療養(補償)等給付とは、労働者が業務災害または通勤災害によって傷病を負い、療養が必要となった場合に受けられる給付です。
この給付には2つの形態があります。
一つは、労災病院や労災保険指定医療機関で診察や治療、薬剤の支給などを無料で受けられる「療養の給付」。

もう一つは、指定医療機関以外で治療を受け、その費用を自己負担した場合に、その実費が支給される「療養の費用の支給」です。

②仕事を休んだ際の生活を支える「休業(補償)等給付」

休業(補償)等給付とは、業務上または通勤による傷病の療養のため、労働することができず、賃金を受けられない場合に、その間の所得を補償するための給付です。
この給付は、休業した日が3日間続いた後、4日以上になった場合に4日目から支給されます。
支給額は、給付基礎日額(平均賃金に相当する額)の60%に相当する額です。

さらに、特別支給金として給付基礎日額の20%が上乗せで支給されます。

③治療開始から1年6ヶ月経っても治らない場合の「傷病(補償)等年金」

傷病(補償)等年金とは、療養開始後1年6ヶ月を経過しても傷病が治癒(症状固定)せず、かつその障害の程度が法令で定められた傷病等級に該当する労働者に支給される年金です。
この給付は、休業(補償)等給付に代わって支給されるものであり、障害の程度に応じて第1級から第3級までの等級に分けられ、それぞれ定められた額の年金が支払われます。

④体に障害が残った場合の「障害(補償)等給付」

障害(補償)等給付とは、業務災害または通勤災害による傷病が治癒(症状固定)した後に、身体に一定の障害が残った場合に支給される給付です。
障害の程度に応じて障害等級が第1級から第14級まで定められています。
第1級から第7級に該当する場合は年金として、第8級から第14級に該当する場合は一時金として支給されます。

障害の程度は、労働基準監督署長の認定によって決定されます。

⑤労働者が死亡した場合の「遺族(補償)等給付」

遺族(補償)等給付とは、労働者が業務上または通勤により死亡した場合に、その労働者の収入によって生計を維持していた遺族の生活を保障するために支給される給付です。
受給資格のある遺族の人数などに応じて、年金または一時金が支給されます。
遺族の範囲や順位は法律で定められており、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順となります。

⑥葬儀費用を補填する「葬祭料等(葬祭給付)」

葬祭料等(葬祭給付)とは、業務災害または通勤災害により死亡した労働者の葬儀を行う場合に、その費用を補填するために支給される給付です。
この給付は、原則として葬儀を行った遺族に対して支払われますが、葬儀を行う遺族がいない場合には、社葬として葬儀を行った会社に支給されることもあります。
支給額は、定められた計算式に基づいて決定されます。

⑦重い障害で介護が必要になった際の「介護(補償)等給付」

介護(補償)等給付とは、障害(補償)等年金または傷病(補償)等年金を受給している人のうち、障害等級が第1級のすべて、または第2級の精神神経・胸腹部臓器の障害を有し、かつ常時または随時介護を必要とする状態にある場合に支給される給付です。
現に介護を受けている場合に、その費用として月単位で支給されます。
親族による介護か、それ以外の事業者による介護かによって支給額が異なります。

⑧脳・心臓疾患のリスクがある場合の「二次健康診断等給付」

二次健康診断等給付とは、労働安全衛生法に基づく定期健康診断等の結果、血圧や血中脂質、血糖値などの項目で異常の所見があると診断された場合に、脳血管疾患や心臓疾患の発症を予防するために行われる給付です。対象者は、脳・心臓疾患の要因とされる項目について二次健康診断を受け、さらにその結果に基づいて特定保健指導を、いずれも無料で受けることができます。

労災認定の前提となる2つの災害区分

労災保険の給付を受けるためには、発生した災害が「業務災害」または「通勤災害」のいずれかに該当すると労働基準監督署に認定されなければなりません。
この2種類の災害区分は、労災認定の最も基本的な前提となります。

どちらの区分に該当するかによって、請求する際の給付の名称が「(補償)給付」のように括弧書きの有無で区別されるなど、細かな違いが生じます。

仕事が原因で発生した「業務災害」とは

業務災害とは、労働者が事業主の支配下にある状況で、業務が原因となって発生した災害を指します。
認定には2つの要件を満たす必要があり、一つは「業務遂行性」、もう一つは「業務起因性」です。
業務遂行性とは、労働契約に基づき事業主の支配・管理下で業務に従事している状態を意味し、事業所内での作業中はもちろん、出張や社用での外出中も含まれます。

業務起因性とは、その業務に内在する危険が現実化したものと経験則上認められることで、業務と傷病との間に合理的な因果関係があることを指します。

通勤中の事故が対象となる「通勤災害」とは

通勤災害とは、労働者が通勤中に被った災害のことです。
ここでいう「通勤」とは、就業に関して、住居と就業場所との間を合理的な経路および方法により往復することを指します。
単身赴任先と帰省先の住居との間の移動や、複数の事業所で働く場合の事業所間の移動も含まれます。

ただし、往復の経路を逸脱したり、通勤とは関係のない行為のために中断したりした場合は、その間およびその後の移動は原則として通勤とは認められません。
ただし、日用品の購入など、日常生活上必要なやむを得ない事由による最小限度の逸脱・中断であれば、合理的な経路に戻った後は再び通勤とみなされる要件があります。
労災保険の運営費用は、事業主が納める保険料によって賄われています。

保険料率を決める「事業の種類」とは?業種ごとの分類を解説

労災保険における「事業の種類」とは、保険料率を決定するために、事業の内容や作業の実態に応じて分類された業種区分のことです。労働保険徴収法に基づき、過去の災害発生率などを考慮して様々な業種に区分され、それぞれに異なる保険料率が定められています。事業主は、自社の事業がどの種類に該当するかを正しく把握し、それに応じた保険料を納付しなければなりません。

労災保険料の基本的な計算式

労災保険料は、年度ごとに「賃金総額×労災保険率」という計算式で算出します。
賃金総額とは、その年度(4月1日から翌年3月31日まで)に、事業主が全ての労働者に対して支払う賃金の合計額です。
ここでの賃金には、基本給のほか、賞与、手当、通勤手当など、労働の対償として支払われる全てが含まれます。

この賃金総額に、後述する事業の種類ごとに定められた労災保険率を乗じて、納付すべき保険料を計算します。

事業の種類(業種)によって保険料率が異なる理由

労災保険率が事業の種類ごとに異なるのは、業種ごとの災害発生リスクの違いを保険料に反映させるためです。
例えば、建設業や林業など、労働災害が発生する危険性が高い業種は保険料率が高く設定されています。
一方で、事務作業が中心の卸売業・小売業、飲食店などは災害リスクが比較的低いとされ、保険料率も低く抑えられています。

このように、過去の災害発生状況に基づいた統計データを基に料率を定めることで、事業主間の負担の公平性を確保しています。

自社の事業の種類を確認する方法

自社の事業の種類を確認するには、厚生労働省が毎年公表している「労災保険率表」を参照するのが最も確実です。
この表には、事業の種類ごとに業種番号と名称、そして適用される労災保険率が一覧で記載されています。
事業主は、自社の主たる事業内容と最も合致する業種を探し、その番号と保険率を確認します。

複数の事業を行っている場合は、原則として最も賃金総額の大きい事業の種類が適用されます。
原則として労働者を一人でも雇用する事業主は労災保険への加入が義務付けられていますが、労働者以外の人も加入できる制度があります。

正社員以外も加入できる!労災保険の「特別加入制度」4つの種類

労災保険は本来、雇用される労働者を保護するための制度ですが、労働者に準じて保護することが適当と認められる特定の人々については、任意で加入できる「特別加入制度」が設けられています。
この制度を利用することで、中小企業の事業主や一人親方、海外派遣者なども労災保険の補償を受けられるようになります。
主な特別加入の保険種類には、以下の4つがあります。

①中小企業の役員や家族が対象の「中小事業主等の特別加入」

中小事業主等の特別加入とは、労働者以外で業務の実態が労働者に近い立場にある中小企業の事業主や、その事業に従事する家族従事者、法人の役員などが加入できる制度です。
加入するためには、金融業・保険業・不動産業・小売業では労働者数が50人以下、卸売業・サービス業では100人以下、その他の業種では300人以下という企業規模の要件を満たす必要があります。
また、労働保険事務組合に事務処理を委託することが加入の条件となります。

②建設業や運送業のフリーランス向け「一人親方その他の自営業者の特別加入」

一人親方その他の自営業者の特別加入は、労働者を雇用せずに事業を行うことを常態とする人、いわゆる一人親方を対象とした制度です。
建設業の大工やとび職人、個人タクシーの運転手、貨物軽自動車運送業者のほか、近年ではITフリーランスやあん摩マッサージ指圧師なども対象に含まれています。

特に建設業では、元請企業から現場入場の条件として特別加入を求められる工事も少なくありません。
加入には、一人親方団体を通じて申請する必要があります。

③海外で働く従業員のための「海外派遣者の特別加入」

海外派遣者の特別加入とは、日本の企業から海外の支店や現地法人、関連会社、提携先企業などに派遣されて働く労働者を対象とする制度です。
海外での業務災害は、現地の公的保険で補償される場合もありますが、その内容が不十分なケースも想定されます。

この制度に加入することで、万が一海外で業務災害に遭った場合でも、日本の労災保険に基づく手厚い給付を受けることが可能になります。

④特定の作業に従事する人が対象の「特定作業従事者の特別加入」

特定作業従事者の特別加入は、特定の危険な作業に従事することで、業務災害を被るおそれがある人を保護するための制度です。
例えば、指定された農業機械を使用する農作業従事者や、職場適応訓練などを受ける訓練従事者、家内労働者およびその補助者などが対象となります。
これらの人々は労働者には該当しませんが、作業の実態から労災保険による保護の必要性が高いと認められています。

これらの制度を利用する際も同様ですが、労災保険の手続きは非常に複雑です。

労災手続きで担当者が陥りがちな落とし穴

労災保険の手続きは、多くの企業担当者がその煩雑さに直面します。
労災が発生した場合、被災状況や請求する給付の種類によって使用すべき様式(書類)が異なり、それぞれに細かな記入事項や添付書類が求められます。

例えば、治療費を請求する「療養(補償)等給付」と、休業中の賃金を補償する「休業(補償)等給付」では、提出する様式番号が全く異なります。
これらの様式を間違えたり、記載内容に不備があったりすると、手続きが滞り、給付の遅延につながる可能性があります。

煩雑な手続きをミスなく進めるための管理体制とは

煩雑な手続きをミスなく進めるためには、しっかりとした管理体制の構築が不可欠です。
労災手続きの管理体制とは、災害発生から給付請求までの一連のフローを標準化し、「いつ」「誰が」「どの様式で」「どこへ」申請するのかを明確に定めておくことです。
特に重要なのが、提出書類のダブルチェック機能です。

専門のアウトソーシング企業である株式会社EPコンサルティングサービスでは、担当者、管理者、責任者の3階層からなるチームを組み、全ての案件でダブルチェックを実施することで、人的ミスを限りなくゼロに近づけ、手続きの品質を保持しています。

手続きの漏れや遅延を防ぐ進捗状況の可視化が重要

労災手続き、特に育児休業関連のように申請が長期にわたるケースでは、手続きの漏れや遅延が大きな問題となります。
これを防ぐためには、各案件の進捗状況をリアルタイムで把握し、関係者間で共有できる「可視化」の仕組みが重要です。
多くの専門ファームでは、社会保険システムでの電子管理に加え、独自の手続き管理表を別途作成・運用しています。

この管理表には、申請日、完了予定日、現在のステータスなどが一覧で記録され、手続きの遅滞を未然に防ぐ役割を果たします。
これにより、複雑な書類管理も効率的に行うことが可能です。
労災保険の種類について、さらに具体的な疑問を持つ方もいるかもしれません。

労災保険の種類に関するよくある質問

ここでは、労災保険の保険種類に関する代表的な質問とその回答を紹介します。

アルバイトやパートでも労災保険の種類は同じですか?

はい、同じです。
労災保険は雇用形態に関わらず、全ての労働者に適用されます。
そのため、アルバイトやパートタイマーの方でも、業務や通勤が原因で災害に遭った場合は、正社員と同様の種類の保険給付を受けられます。

労災保険の給付金にはどのような種類があり、非課税ですか?

労災保険の保険給付には、本記事の一覧で解説した通り、療養(補償)等給付や休業(補償)等給付など8つの主要な種類があります。
これらの給付金は、被災労働者が受けた損害を補填する性質のものであるため、所得税や住民税は課税されません。

会社の業種が変わった場合、労災保険の事業の種類も変更手続きが必要ですか?

はい、必要です。
会社の主たる事業内容が変更になり、適用される労災保険の事業の種類が変わった場合は、管轄の労働基準監督署へ「労働保険名称、所在地等変更届」を提出しなければなりません。
保険料率が変わる可能性があるため、速やかな手続きが求められます。

まとめ

労災保険には、被災状況に応じて受けられる「給付の種類」、保険料率の基準となる「事業の種類」、そして労働者以外も加入できる「特別加入制度の種類」など、様々な分類があります。
また、給付の前提として、災害が「業務災害」か「通勤災害」のいずれかに認定される必要があります。
労働者、事業主、一人親方など、それぞれの立場において、どの種類が自身に関係するのかを正しく理解し、適切な手続きを行うことが重要です。

労災保険の複雑な手続きや管理は専門家へのアウトソーシングがおすすめ

労災保険の手続きは、多岐にわたる給付の種類や複雑な様式、厳しい提出期限など、専門的な知識と正確な事務処理能力が求められます。
企業の労務担当者が通常業務と並行してこれらの手続きをミスなく行うことは、大きな負担となりかねません。

法令遵守の徹底、申請漏れや遅延のリスク回避、そして担当者の負担軽減を実現するためには、専門知識を持つ社会保険労務士やアウトソーシングサービスの活用が非常に有効な選択肢となります。

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①専門家チームによるダブルチェック体制で手続きのミスを防止

EPコンサルティングサービス/社会保険労務士法人EOSでは、複数の専門家によるチーム体制を構築しています。実務担当者が作成した書類を複数の目でレビューすることで、品質向上に努めています。これにより、高品質なサービス提供を目指しています。

②進捗管理の徹底的な可視化で申請漏れや遅延を防ぐ

手続きの進捗管理は、システム上での管理に加えて、独自に作成した「手続き管理表」を用いて行います。
特に、育児休業関連など手続きが長期化しがちな案件については、別の管理表を設けることで、より厳密な進捗管理を実現。
担当者間での情報共有を円滑にし、申請漏れや手続きの遅延といったリスクを未然に防ぎます。

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