コラム
その仕訳、本当に“正確”ですか?
「これ、どの科目だっけ……まあ雑費でいいか」
「前回と同じ処理で大丈夫だろう」
その仕訳、後で必ずツケが回ってきます。
経理の現場では、“なんとなく処理”は珍しくありません。
むしろ、忙しい現場ほど頻繁に発生します。
ですが、その“なんとなく”は、確実に帳簿の信頼性を壊していきます。
正確=合っている、ではない
多くの人が「正確な仕訳」と聞いて思い浮かべるのは
- 金額が正しい
- 貸借が一致している
という“表面的な正しさ”かもしれません。
もちろん、これは大前提です。
しかし、それだけで「正確」と言い切るには、あまりにも不十分です。
なぜなら、会計における正確性とは
法令・会計基準・ルールに基づいて、内容として正しく処理されている状態
だからです。
「一見正しい仕訳」が間違っている例
例えば、修繕費の計上。
Dr 修繕費 100 /Cr 未払金 110
仮払消費税 10
仕訳だけを見れば、何の違和感もありません。
しかし、視点を変えるとどうでしょう。
- 本来は「固定資産」として処理すべきではないか?
- 未払金ではなく「未払費用」ではないか?
- 未確定債務なら消費税は認識していいのか?
こうした観点を加えると、この仕訳は“正しくない”可能性が出てきます
正確性には「3つのレベル」がある
実務で本当に必要な「仕訳の正確性」は、3段階で考えるとクリアになります。
① 数値として正しい
- 証憑と金額が合っている
- 貸借一致している
② 会計・税務として正しい
- 科目や会計処理が適切
- 消費税区分が正しい
- 期間帰属が正しい
③ 意味として正しい
- 取引実態を捉えている
- 社内ルールや過去処理と整合(再現性)している
- 第三者に説明できる
なぜ“意味まで正しくする”必要があるのか
理由はシンプルです。
会計は「記録」ではなく「説明責任」そのものだからです。
財務諸表等の会計に関する数字は、意思決定の材料になります。
そして、その数字の出発点が「仕訳」です。
もし仕訳が「なんとなく合っている」レベルで作られていたら、
- 修正が常態化する
- 経営判断を誤る
- 税務リスクが発生する
- 説明できない数字が増える
こうした問題が必ず起きます。
私たちが持つべき一つの習慣
では、正確な仕訳をするにはどうすればいいのか。
それは、
「この仕訳、説明できるか?」と自分に問いかけること。
- なぜこの科目なのか
- なぜこのタイミングなのか
- なぜこの処理でいいのか
これに答えられるなら、その仕訳は正しいと言う事が出来ると思います。
答えることが出来ないのなら、どこかに誤りがある可能性があります。
最後に
仕訳は、単純作業ではありません。
判断の積み重ねです。
そして、その判断の質が、会社の数字の信頼性を決めます。
だからこそ、もう一度問い直してみてください。
「その仕訳、本当に“正確”ですか?」

金子 雅英Masahide Kaneko
ACCTソリューション事業部 シニアマネージャー 2007年入社。事業会社の連結決算や開示業務を経験。日系事業会社のBPOを中心に担当。
