コラム
子ども子育て支援金って、何?
今年度も残すところ、あと数日となりました。
来年度(令和8年度)は、「子ども・子育て支援金制度」が始まります。
この制度は、近年の少子化・人口減少の進行の加速から、政府が令和5年12月にこども未来戦略「加速化プラン」を作成し、子ども・子育て支援の拡充を実施することを決めたという背景にあります。支援金制度は、この施策を支える財源の一部となることが決まっています。
今回は、この子ども・子育て支援金について、ご案内したいと思います。
概要
現在、若い世代において「結婚・子育ての将来展望を描けない」「子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境がある」「子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感の存在」など、少子化の大きな要因となる、課題が存在しています。
若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もがこどもを持ち、安心して子育てできる社会、こどもたちが笑顔で暮らせる社会の実現を目指して、こども未来戦略「加速化プラン」が策定され、以下の通り、子育て施策を拡充することとなりました。
- 児童手当の拡充(所得制限を撤廃、高校生年代まで延長、第3子以降は3万円)
- こども誰でも通園制度の創設
- 妊婦のための支援給付(出産・子育て応援交付金)
- 雇用保険の出生後休業支援給付
- 雇用保険の育児時短就業給付
- 育児期間中の国民年金第1号被保険者の保険料免除措置
子ども・子育て支援金制度
社会保険制度は、社会連帯の理念を基盤にしてともに支え合う仕組みです。子ども・子育て支援金制度も、連帯によって、将来を担う子どもたちや子育て世帯を全世代・前経済主体で支える仕組みであり、支援金は保険料として取り扱われることとなります。
政府は、支援納付金対象費用に充てるため、令和8年度から、医療保険制度(国民健康保険、後期高齢者医療、被用者保険)の納付ルートを活用して支援金を集めることとなります。 徴収した支援金は、すべて、支援納付金対象費用に充当することが定められており、他の費用への流用はありません。
事業主の対応ポイント
1.誰が払う?
(1)被用者保険に加入している人
(2)国民健康保険に加入している人
(3)後期高齢者医療制度に加入している人
(4)被用者保険加入者の事業主
令和8年度の支援金額(平均月額)は、被用者保険の加入者については、被保険者一人当たり、約550円と試算されています。
健康保険や雇用保険と同様に、給与からだけではなく、賞与からも、徴収されるものです。
2.事業主のやるべきことは?
この子ども・子育て支援金制度に伴い、事業主は、令和8年4月分の保険料として、健康保険に加入している従業員から、支援金を徴収する必要があります。
ここでは、給与計算に関係する事項をご案内します。
(1)控除開始時期
当月徴収の事業主・・・4月給与および4月賞与から
翌月徴収の事業主・・・5月給与および4月賞与から
そのため、事業主は、3月給与計算完了後、次の(2)に記載の対応事項を実施する必要があります。
なお、産前産後休業、育児休業中の従業員は、健康保険や厚生年金と同様に、支援金も免除されます。
(2)対応事項
- 給与明細書や支給控除一覧表などの印刷物(データも含む)の項目追加
- 給与計算システムにおける、項目設定や計算設定の確認
- 給与計算システムにおける、子ども・子育て支援金の保険料率の設定
- 経理資料などの項目の見直し等
給与明細においては、社会保険料額の内訳として子ども・子育て支援金額を示すことは法令上の義務ではないことから、給与明細で健康保険料等とは分けて表示することは必須とはなっていません。
しかしながら、こども家庭庁では、子ども・子育て支援金制度が社会全体で子どもや子育て世帯を応援する趣旨であることを踏まえて、給与明細にその内訳を記載する取組みについて理解・協力をお願いしているところです。
おわりに
新年度に向け、給与計算関連の対応事項が発生し、人事担当の方においては、いつもよりも慌ただしい年度末を迎えられているかもしれません。
EPコンサルティングサービス/社会保険労務士法人EOSでは、給与計算や労働保険・社会保険手続き、従業員様との直接対応、規則改訂サポート等、様々なご依頼に対応させて頂いております。
サポートできることがありましたら、お気軽にお問合せ頂ければ幸いです。
角下 梨絵Rie Sumishita
HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当
