コラム

年末調整書類、何をどうチェックすればいいの?

給与・社保・人事労務

今年もいよいよ残すところ1ヶ月となり、人事の方の年末調整書類のチェックが着々と進んでいるところかと思います。

ふるさと納税や医療費控除などの必要性から、ご自身で確定申告をされるケースもあるかと思いますが、年末調整対象となる方にとっては、年末調整はとても大切な申告となります。

弊社でも多くのクライアント様より年末調整のご依頼を承っているところですので、今回は、令和5年の年末調整書類のチェックポイントについて見ていきたいと思います。

年末調整の提出書類

年末調整に必要な提出書類は以下の通りです。

(1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

(2)基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

(3)給与所得者の保険料控除申告書…該当者のみ

添付書類として、保険料控除証明書の提出が必要です。

(4)給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書…該当者のみ

添付書類として、金融機関が発行した住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書の提出が必要です。

(5)前職の給与所得の源泉徴収票…該当者のみ

各申告書のチェックポイント

(1)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

  • 年末調整対象者全員から提出があったか。提出していない人はいないか。
  • 源泉控除対象配偶者の所得金額の合計は95万円以下、扶養親族の所得金額の合計は48万円以下であるかどうか。
  • 本年中に死亡した源泉控除対象配偶者・扶養親族は、控除対象に該当するかどうか。
  • 国外に居住している扶養親族について、必要な書類の提出があるか。送金額は扶養親族として判定するのに必要な金額を満たしているか。
  • 障害者に該当する(所得者本人や扶養親族)場合、詳細を記載されているか。
  • 障害者の区分は正しく判定されているか。
  • ひとり親、寡婦、勤労学生であるかを正しく判定されているか。

(2)基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

基礎控除申告書

  • 申告書の提出があるかどうか。

配偶者控除申告書

  • 所得者本人の合計所得金額が1,000万円以下であるか。
  • 配偶者の合計所得金額は48万円以下であるか(配偶者控除)。
  • 配偶者の合計所得金額は、48万円超133万円以下であるか(配偶者特別控除)。

所得金額調整控除申告書

  • 給与収入金額850万円超の所得者について、所得金額調整控除の対象であるか否かを正しく判定しているかどうか。

(3)給与所得者の保険料控除申告書

  • 納税者本人が支払った保険料であるか。
  • 保険金又は年金の受取人は、所得者本人又は所得者の配偶者や親族(個人年金保険料については親族を除きます。)だけであるかどうか。
  • 保険料支払いを証明する控除証明書が必要な申告について、提出がされているか。
  • 控除証明書は、今年の証明書かどうか。
  • 申告された内容と証明書の保険区分に誤りはないか。
  • 申告された金額が証明日現在の実支払額(上限未満)を記載しているが、12月まで支払った場合の見込み額を使用するとより多くの控除が得られることはないか。

(4)給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書

  • 住宅ローンの借入者と所得者本人は同じ人かどうか。
  • 住宅を購入した人と所得者本人は同じ人かどうか。
  • 金融機関の「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が添付されているか。
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書が記載され、提出があるかどうか。
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書を電子的交付で受けた所得者について、書面で提出する場合、QRコード付き控除証明書を提出しているかどうか。
  • 住宅購入日と当初借入年月日から借り換えが行われていないか。
  • 連帯債務の所得者について、備考欄に文言が必要な場合に、記載があるかどうか。

(5)前職の源泉徴収票(本年中に他社で給与の支払いを受けている場合)

  • 前職で本年中に給与の支払いを受けている人について、提出があるかどうか。
  • 本年の源泉徴収票かどうか。
  • 所得者本人の源泉徴収票に間違いないか。
  • 税区分の「乙」にチェックが入っていないかどうか。
  • 退職日の記載があるかどうか。

年末調整後の手続き

年末調整業務の時期は、慌ただしく過ぎてしまいますが、年末調整完了後も、法定調書や給与支払報告書の届出等、業務量がとても多くなってまいります。

業務量が多くなるが故に、何かと事務が煩雑になってしまう事もあるかと思います。

EPコンサルティングサービス及び社会保険労務士法人EOSでは、給与計算、年末調整、社会保険手続きをワンストップでご提供することが可能です。

昨年度より、Web年末調整対応も開始しましたので、気になることがありましたら、お気軽にお声がけ頂きたいと思います。

角下 梨絵Rie Sumishita

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士試験合格後、EPコンサルティングサービスに入社。現在、事業部のマネジ メントの他、外資系企業の給与計算、社会保険及び労務管理を中心に担当

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