コラム

人材価値の開示指針について考察

給与・社保・人事労務

今期も残り1か月強

今年も早いもので、もう2月中旬を迎えました。我々人事で言えば、年末業務である年末調整、そして年明け業務としての給与支払報告、法定調書業務が完了して、ほっと一息、ひと段落、といったところではないでしょうか。

思えば、今年度もあと1か月強というところで、皆様におかれましては、来年度(来期)に向け、そして今年度(今期)の振り返りをしなければ、といったところかと思います。

また、多くの企業様では年度末を向かえるところでの人事評価の時期ではないかと思います。私たちEPCSもまさにその時期であり、マネジャーとしては身の引き締まる想いです。

人事制度上の評価(evaluation)では、今期1年を振り返り、できたこと・来期の課題について構想します。

私個人的においても諸々構想を開始しはじめたそんな折ですが、先日、日経新聞で「人材価値、開示に指針」と題して、以下の記事を拝読しました。

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「人材の価値、開示に指針」 政府、企業に育成戦略など促す 2022年2月2日

政府は今夏にも企業の「人的資本」に関する情報開示指針をつくる。専門会議で社員の多様性や人材教育などの開示内容を議論する。働き手の能力や知識は新たなアイデアを生む資本と捉えられ、競争力や企業価値を左右する要素として投資家の関心が高い。欧米は先行しており、開示をテコに企業の人材戦略の強化を後押しする。内閣官房が2月に専門会議を設置し、開示項目や評価方法について具体的な検討に入る。金融庁とも連携し、将来は上場企業を中心に有価証券報告書への記載を義務付けることを視野に入れる。

~日経新聞より~

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既に欧米は先行し、米国では2020年8月に企業に「人的資本の情報開示」が上場企業に対して義務付けられ、離職率や性別・人種別の賃金にまで踏み込んで開示することになっているようです。

企業経営における経営リソースは、ヒト・モノ・カネ・情報、最近ではノウハウやITリテラシーなども入ってくることもありますが、人事に携わる者としては、やはり「企業はヒトなり」と声を大にして申し上げたい、そんな中で、上場企業に対して一定範囲で「ヒト」に関する情報開示が義務化されることの検討に、我が国が入ったということは、非常に大きな一歩であると捉えています。

ようやく我が国もヒトの大切さ・人事の重要性が、公に問われるようになってきたかと、少し感慨深いものがあります。なので、今回は情報開示の基であるそもそもの「人的資本」に関して、触りだけでも皆さんと共有したいと思います。

人的資本とは?

これまでは、人的資源、人材をリソースとして、つまり材料として、そこにかかるコストという観点で論じられていました。人をリソース・材料、コストして捉え、如何にして能率的・効率的に有効活用するかということです。

では、人的資本は?というと、英語表記すると「Human capital」ですが、人材を「人財」、つまり人を「材料」としてではなく、人は「財産」である、という観点で捉えるという考え方・観点です。

言い方を変えると、人財を「投資」という観点で捉え、マネジメントするということです。

経営リソースのカネの領域で言うと、企業の業績、売上、利益 株価、財務状況といったものは、金勘定、数字で表しやすいためわかりやすいのに対して、ヒトの成長と企業の業績向上は、即座に結果に対して明確に紐付けにくいので、ヒトの領域では客観的評価が難しいといわれます。

そうはいうものの、上記の数字を作るのは紛れもなくヒト、企業で言えば社員です。たとえ多くのカネがあり、ノウハウ、有益な情報があったとしてもそれを司るのはヒト・社員・人財であり、人財無くして業績向上はあり得ません。

「企業は人なり」 人事に携わる身としては、切にそう捉えてこの仕事をしています。人財は企業を動かすエンジンです。

対社員に対してのメッセージとしても、

『あなたたちは、人材、材料、コストですよ!』と言われるよりは、

『あなたたちは人財であり、財産であり、あなたたちの成長に投資しますよ!』

というメッセージで発信された方が、モチベーションアップすることは言うまでもありません。

デジタルレイバー(ロボット)ならともかく、リアルレイバー(人間)としては、多くの人がそう感じれると思います。

今回の有価証券報告書のカテゴリーとして、人的資本、人財に対しての取り組み方針や具体的施策等の公表の義務づけは、人財に対しての考え方について真正面から向き合って取り組んでいく必要性が出てきたこということで大きな意味があります。

このテーマを具体的に実行に移すにあたっては、各企業様において多くの課題があると思います。

その課題に対して、我々人事領域の専門家としては、調査・研究を重ね、ノウハウを蓄積し、各企業様のご担当者と共に課題に向き合い、検討してきたいと考えています。

我々専門家としてもこの課題に向き合い解決の一役を担うことは、チャレンジであると同時に、ある意味、大きなビジネスチャンスでもあります。

今後もこの課題に対して、真摯に向き合い、何かしらの発信をしていきたいと思います。

今日のところはこのぐらいにしておきます。また機会を見つけ、このテーマの続編を論じていきたいと思っています。

栗元 拓也

栗元 拓也Takuya Kurimoto

HRソリューション事業部 マネージャー 社会保険労務士 社会保険労務士法人EOS社員 社労士法人、人事コンサル会社を経て、2010年に社会保険労務士法人EOSに入社。

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