コラム

税務担当者の育成の苦悩(2)

会計・経理・税務

前回は、税務担当者の育成が難しい理由について2点ご紹介しました。1点目は習得すべき税目が多いこと、2点目は忙しい時期が限定されることです。忙しい時期が限定されると、税務担当者は税務業務のみを行っているわけにはいきません。そのため、他の業務の知識が必要とされ、税務担当者が習得すべき知識や経験は膨大なものになります。

そして、このような税務以外の知識を含め多くの知識を要する税務担当者を育成することは時間的・コスト的に非常に困難になります。そのため税務業務をできる人だけがずっと税務業務を行うような属人化が起こってしまいます。

ではこのような属人化を回避する方法はあるのでしょうか?

税務業務の属人化を防ぐ方法 アウトソースのご提案

属人化を防ぐためには、税務の知識が豊富な人材を複数名雇うことです。そうすれば、最初から時間とコストをかけて人材を育成する必要はありませんし、また誰か一人が退職するなどしても属人化に陥ることなく業務を続けることができます。

しかし、問題は、そのような社員を必要な時に必要な人数を雇うことができるかどうかです。人事採用の方であればご経験はあるかと思いますが、自社が求めている知識を持つ人材を自社が雇いたいタイミングで雇うことは、なかなかうまくいかないのが実情です。

このような人材を複数雇うことはさらに困難でしょう。

そのようなことにならないように、税務業務をアウトソースしてしまうのはいかがでしょうか。

税務業務をアウトソースして、外部の専門家である税理士や税理士法人に任せてしまえば、社内で人材を育成する必要がなくなります。膨大な知識や経験はその税理士や税理士法人が既に持っていますので、育成に多大なコストや時間を使う必要はありません。また、税務業務が多忙になる時期を心配する必要もなくなります。よって、属人的になることもありませんし、一つ目の方法でご紹介した専門的な知識や経験を持った人材を採用するのに苦労をする必要もありません。

もし、社内に税務の詳しい人を置いておきたいと思った場合には、その税理士や税理士法人に御社の税務内容をレクチャーしてもらえばいいのです。

さらに、現在、税務担当者がいらっしゃる会社でも、税務業務を外にアウトソースすることで、その担当者にもっとその会社のビジネスに近い業務を行ってもらうことができます。例えば、会社の将来を計るためには、セクションごとの管理会計が必要となってきます。その分析要員として税務担当者を活用されるのも手ですし、ROE経営を行うためのスタッフに加えてもいいかもしれません。財務や税務の知識を生かして、コアビジネスへの所属の移転も考えられます。

いずれにしましても、税務担当者であった方を会社の経営にとって必要な業務に注力させることができるようになるのです。このように税務業務をアウトソースすることによって、人材を有効に使えるのではないでしょうか。

いかがでしょうか。

属人化のリスクを減らし、人材を有効に使える手段として、税務業務をアウトソースを検討されてみてはいかがでしょうか。

鈴木 康功

鈴木 康功Yasunori Suzuki

ACCTソリューション事業部 マネージャー 税理士 税理士法人EOS社員 2003年税理士試験合格。2005年税理士登録。会計事務所を経て、2009年EPCSに入社。

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