コラム

NISAの拡充

会計・経理・税務

NISAやっていますか?

皆さん、NISAってご存じでしょうか?テレビやインターネットで取り上げられているので、ご存じの方も多いかと思いますが、「税金が掛からない投資みたいだけど、投資は損すると怖いからそもそも興味なんてないです」、「非課税といっても投資できる金額の上限が低すぎてあまりやる意味無いんとちゃうかな」みたいな感じで、NISAをされていない方も多いのでないでしょうか。少なくとも私の周りではあまりされている方は増えていないと感じています。2024年から大きく拡充されたNISAを今回は取り上げたいと思います。

お金を自分で増やさないと増えてくれない時代に

銀行の普通預金の利息って何%ぐらいかご存じですか?あまりにも低金利で最近は気にしたことも無いという方も多いのではないでしょうか。最近でこそ普通預金の金利は0.2%ぐらいに引き上げられましたが、少し前までは0.001%程度というところが殆どでした。0.2%に引き上げられたものの、例えば100万円の預金残高があったとしても年間100万円×0.2%=2,000円の利息しかつきません。しかも源泉所得税が20.315%控除されるので手取りだと1,600円以下となります。

スーパー等の食料品や日用品、飲食店での食事代金、交通費、旅行費用、家賃、教育費、レジャー用品等々、ここ数年は市場にあるありとあらゆるものが毎年値上げされています。一方で銀行の金利は上がったとは言え、まだまだ低金利です。政府や企業も賃金上昇を目標に施策を行っていますが、まだまだ市場の値上がりには追い付いていないのが現状です。普通預金をしていただけでは、物価の上昇にはついていけず、自分の資産は目減りしている状況となっています。特に日本人は他の先進諸国と比較しても貯金が大好きな性格で投資することを好まない性格ですが、日本の市場や預金利率がこのような状況なので、ある程度自分でお金を増やす必要がある時代になってきました。そこで登場したのがNISAなのですが、初登場した時は非課税限度額も小さく、あまり大きなインパクトを与えることができなかったのが正直なところでした。

2024年改正

ところが2024年の改正により、大きく変更されることになります。少しややこしいので、ここでは細かい話は割愛させて頂きますが、2023年までの旧NISAの場合、非課税投資額は年間で120万円(一般NISA)まで、生涯投資枠の非課税の上限が最大で800万円までだったのに対して、2024年からの新NISAでは非課税投資額は年間で360万円まで、生涯投資枠の非課税上限が1,800万円までとなりました。しかも旧NISAでは非課税期間の期限があったのに対して、新NISAでは非課税期間は無期限となります。また、旧NISAでは同じ年につみたてNISAと一般NISAはどちらか一つしか使えませんでしたが、新NISAではつみたて投資枠も成長投資枠も両方使えます。



つみたて投資枠とはその名の通り毎月積み立てて投資をする(年に2回からの積み立てでOK)枠のことで、対象となる商品は金融庁が選んだ投資信託等となり、長期分散運用に適した商品となります。一方で成長投資枠とは上場株式を含んだ商品を対象としています。成長投資枠で必ず上場株式を購入する必要があるというわけではなく、年間360万円の上限額目一杯つみたて投資枠の商品を購入しても構いません。
旧NISAと比較すると新NISAでは非課税で投資できる金額が大きく増額されたのが分かるかと思います。

非課税制度

預金や株式等で得た利益については通常税金が掛かります。基本的には税率は20.315%となります。これがNISAだとなんと非課税となります。非課税運用期間は無期限なので、例えば200万円で購入した株式が10年後に2,000万円に値上がりして売却したとしても、その売却益には税金は掛かりません。しかも自分の好きなタイミングで解約してお金を引き出すことも可能です。NISAは解約するとその分次の年に非課税枠が復活します。解約した年ではなく、翌年になることに注意です。

税制のデメリット

NISAのデメリットとしては、当然元本保証ではないので、損をしてしまう可能性がもちろんあるということですが、税制のデメリットとしては、通常の株式投資で損失を翌年に繰り越して利益と相殺する繰越控除や、他の口座の利益と相殺する損益通算は使えないということを覚えておいて下さい。

おわりに

新NISAで非課税投資額が大幅に増額されNISAに興味を持たれ方も多いかと思います。かく言う私も新NISAになってから始めました。

EPコンサルティングサービスは会計や税務のアウトソーシングを提供したりコンサルティング業務を行う会社ですので、皆様の投資の相談に乗ることはできませんが、NISAの税制に関することであればいつでも相談に乗らせて頂きます。何かご相談がございましたら、いつでもご連絡下さい。NISAとは別でiDeCoという制度もありますが、こちらは次の機会で取り上げたいと思います。

武田 哲尚

武田 哲尚Tessho Takeda

ACCTソリューション事業部 取締役事業部長 税理士 税理士法人EOS代表社員 2002年EPコンサルティングサービスに入社。国内事業会社・外資系事業会社・SPCの会計と税務を担当。

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