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定額減税って何?私にも関係ある?

Payroll accounting, social insurance, personnel and labor affairs

今年もまもなく3月、年度末を間近に迎え、法改正に合わせた雇用契約書や36協定の準備など、人事ご担当者の方は繁忙期に入られているのではないでしょうか。


さて、令和5(2023)年12月14日、令和6年度(2024年度)税制改正大綱が発表され、今年に入ってから、「定額減税」という言葉を耳にすることが増えてきました。

物価上昇の進む中、「減税」という言葉は、とてもありがたいような響きですが、そもそも定額減税とは、どんな制度なのか見ていきたいと思います。

制度の概要

「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(令和5年11月2日閣議決定)において、「賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和するため、デフレ脱却のための一時的な措置として、令和6年分所得税及び令和6年度分個人住民税の減税を実施するという事になりました。

具体的には、納税者及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、令和6年分の所得税3万円、令和6年度分の個人住民税1万円の減税を行う」こととされました。

定額減税の対象者

①所得税

令和6年分所得税の納税者である居住者で、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下である人です。この合計所得とは、所得税法上の令和6年分の合計所得金額とし、退職所得金額を含みます。

②住民税

前年の合計所得金額が1,805万円以下(給与収入のみの場合、給与収入2,000万円以下に相当)である所得割の納税義務者。住民税は前年の所得に対して課税されるため、令和5年分の所得金額により判定されます。

定額減税の対象となるもの

令和6年分の所得税および住民税です。

定額減税額

定額減税額は、次の金額の合計額です。

①所得税

本人3万円+同一生計配偶者又は扶養親族×3万円

ただし、その合計額がその人の「令和6年分の所得税額」を超える場合には、控除される金額は、その所得税額が限度となります。

②住民税

令和6年度分は本人1万円+同一生計配偶者又は扶養親族×1万円

令和7年度分の住民税は、控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する者について、1万円を所得割額から控除

定額減税の実施方法(給与所得)および適用対象者(所得税)

定額減税に伴い、給与支払者は、下記の事務を行う事となります。

①月次減税 … 毎月の給与や賞与の所得税額からの控除

扶養控除等申告書を提出している給与所得者(いわゆる甲欄適用者)については、その主たる給与の支払者のもとで、次により定額減税額の控除が行われます。

令和6年6月1日(基準日)以後最初に支払を受ける給与等(賞与を含む)に係る源泉徴収税額からの控除(令和6年6月1日において主たる給与の支払を受ける人が対象)源泉徴収すべき所得税及び復興特別所得税の合計額(控除前税額)から月次減税額を控除します。


乙欄および丙欄適用の方、令和6年6月2日以降に雇用された方は、月次減税を受けることができません。

また、適用対象者が、自分で定額減税の適用を受けるか受けないかを選択することはできません。

②年調減税…年末調整時における年調所得税額からの控除

年末調整の対象者で、かつ、令和6年中に支払の確定した給与等を基に年末調整により計算した年調所得税額がある人は、その年調所得税額から年調減税額を控除します。

年末調整の対象にならない方、合計所得が1,805万円を超える方、令和6年5月31日以前において、年の中途で年末調整の対象となる人は、年調減税を受けることができません。

基準日以前に死亡退職・非居住者となった人に対する定額減税(所得税)

令和6年5月31日以前に、死亡により退職した人及び年の中途で海外の支店等への転勤などにより非居住者となった人は、いわゆる準確定申告書や更正の請求書等の提出により、定額減税の適用を受けることとなります。

基準日以前に死亡退職・非居住者となった人に対する定額減税(住民税)

令和6年1月1日時点に日本に居住されている方について、令和6年分の住民税が賦課されるため、前述の定額減税の対象者については、すべて1万円が減額されることとなります。

給与所得に係る特別徴収の場合の住民税徴収方法

令和6年6月分は徴収を行わず、「定額減税後」の年税額令和6年7月分~令和7年5月分の11ヶ月で均した税額を徴収します。

特別徴収税額通知(特別徴収義務者用、納税義務者用)の通知期限については、地方税法第321 条の4第2項の規定のとおり、5月31日までに行う必要があるため、決定通知書の届くタイミングの変更はありません。

EPコンサルティングサービス及び社会保険労務士法人EOSでは、給与計算、社会保険業務だけではなく、法改正に関するアドバイスも随時実施しております。ホームページだけではなくSNSでも日々、情報を配信しておりますので、気になることがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

Rie Sumishita

HR Team Manager Certified social insurance labor consultant

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